採用ブランディングの
進め方とは
インタビューと
ワークショップで
「らしさ」を言語化


採用ブランディングの進め方で多いのが、「何から手をつければいいのか分からない」という悩みです。
企業の強みや魅力を整理しようとしても言葉にできず、経営と現場の認識も噛み合わない。
その結果、採用サイトやコピー制作から始めてしまい、うまく機能しないケースも少なくありません。
採用ブランディングに関心を持った企業から、次のような相談を受けることがあります。
• 自社の強みや魅力をどう整理すればいいのか分からない
• 経営と現場で言っていることが噛み合わない
• 自社の目線だけでなく第三者の意見が欲しい
採用ブランディングは、キャッチコピーや採用サイトを作ることから始まるものではありません。
また、「言葉をつくること」自体がゴールでもありません。
本来の採用ブランディングは、企業の「らしさ」を起点に、学生がその会社に期待感情を抱き、「ここで働いてみたい」とワクワクできる状態をつくることまでを含みます。
本記事では、採用ブランディングの定義や重要性を改めて説明するのではなく、実務の現場で「らしさ」をどう引き出し、どう言語化していくか、その進め方と考え方に焦点を当てて解説します。
本記事は、
「なぜ採用ブランディングが必要なのか」
「新卒学生はどのように企業を選んでいるのか」
といった前提を理解したうえで、具体的にどう進めていけばよいかを整理するための記事です。
※ 採用ブランディングの考え方や全体像については、「採用ブランディングとは?」の記事で整理しています。

採用ブランディングで最初に行うべきことは、いきなり答えを出すことではありません。
まず必要なのは、企業の内側にある強みや魅力などを引き出すことです。
そのために行うのが、
経営・キーパーソンへのインタビュー
現場を巻き込んだワークショップ
この2つを通じて、企業の中に点在している価値観や事実となるキーワードを抽出し、その後構造的に整理していきます。
最初に行うのが、経営や事業責任者へのインタビューです。
ここで聞くのは、理念やビジョンをそのまま語ってもらうことではありません。
焦点を当てるのは、過去と未来への意思決定です。
なぜその事業を始めたのか
どんな場面で迷い、どう判断したのか
指針としている考え方や価値観は
今後どのようなビジネス展開をするのか
こうした具体的なエピソードや考えを掘り下げていくと、経営が実際に大切にしている判断基準が浮かび上がってきます。
この段階で整理されるのは、「この会社は、何を優先し、何を選ばないのか」という軸です。
なお、この段階で注意したいのは、インタビューを「想いを語ってもらう場」にしてしまわないことです。
判断の背景となる事実や選択の理由を具体的に掘り下げないと、あとから整理に使える情報が残りません。
次に行うのが、人事や現場メンバーを交えたワークショップです。
ここでは、経営の言葉が現場でどう受け取られ、どう機能しているかを確認します。
ワークショップでは、例えば次のようなテーマを扱います。
どんな人が評価され、活躍しているか
仕事の進め方で、どんな摩擦が起きやすいか
入社後に「想像と違った」と感じやすいポイントはどこか
重要なのは、良い・悪いで判断しないことです。
実態をそのまま出すことで、この環境で伸びる人・期待を持ちやすい人、逆に合わない人の傾向が見えてきます。
インタビューとワークショップを通じて集まった情報は、そのままではまだ「らしさ」にはなりません。
ここで行うのが、経営の判断基準と、現場の実態を突き合わせる整理です。
経営が語る価値観は、現場でどう表れているか
言っていることと、実際の行動にズレはないか
ズレがある場合、それは課題か、それとも特徴か
この突き合わせを行うことで、企業の「らしさ」が立体的に見えてきます。
この工程では、経営と現場の意見が食い違う場面も少なくありません。
重要なのは、どちらが正しいかを決めることではなく、そのそのズレが、学生にどんな印象や期待を与えるかという視点で整理することです。
採用ブランディングでは、ズレをなくすことよりも、ズレをどう意味づけるかが重要になります。
次に行うのが、抽出した「らしさ」を学生視点で翻訳する工程です。
ここでは、企業の内側で整理された内容を、学生が自分ごととして受け取り、働くイメージや期待感情を抱ける文脈に変換するかを考えます。
この特徴は、どんな学生にとって魅力になるのか
どんな期待やイメージにつながりやすいのか
逆に、どんな学生には合わないか
この工程を経ることで、企業の内側の価値は、単なる説明ではなく、学生の中で「ワクワク」や「納得感」を生む言葉へと変わっていきます。
言語化された「らしさ」は、採用活動の各接点で一貫して伝えられる必要があります。
採用サイト
説明会
インターンシップ
面談・選考
どこか一部だけで語るのではなく、接点を重ねる中で、学生の中に期待感情が少しずつ育っていく状態をつくることが重要です。
採用ブランディングは、一度伝えて終わりではなく、体験を通じて「この会社に入りたい」という気持ちが自然に強まっていくプロセスだと言えます。
インタビューやワークショップを行っても、うまくいかないケースがあります。
目的が「良い言葉を出すこと」になっている
経営と現場の意見を並べるだけで終わっている
学生視点への変換が行われていない
こうした場合、整理した内容が採用活動に活かされず、学生の期待感情にもつながりません。
重要なのは、学生の行動や感情の変化につながる状態まで落とし込めているかです。
これらの工程は、時間と体制があれば自社だけで進めることも可能です。
一方で、
経営と現場の調整に時間がかかる
言語化が抽象論で止まりやすい
学生視点への変換が難しい
といった場合は、第三者が整理役として入ることで、進行しやすくなるケースもあります。
採用ブランディングの進め方とは、
• インタビューで経営の判断基準を掘り下げ
• ワークショップで現場の実態を可視化し
• それらを突き合わせて「らしさ」を整理し
• 学生視点の文脈へ変換し
• 採用体験を通じて期待感情を育てていく
という、状態づくりを目的とした設計プロセスです。
採用ブランディングは、骨子をつくることがゴールではありません。
企業の内側にある価値が、学生の中で意味を持ち、「ここで働きたい」という期待感情につながっていくところまでが、採用ブランディングだと私たちは考えています。
